「プロフェッショナル原論」第4章・第5章
どうも、ブッダ先生です。
3回にわたって書きなぐっております、「プロフェッショナル原論」ですが、ようやく、ようやく今回で完結いたします。
今回は第4章・第5章をまとめますが、この2つのパートは良い意味でも悪い意味でもブッダ先生の心に響いた部分となります…笑
再掲:読書中のブッダ先生の心の動き
良い意味でも悪い意味でも心に響いたとはどういうことでしょうか。下の図をご覧ください。
これはブッダ先生の読書中のテンションを表しているのですが、今回まとめる第4章と第5章は心が動いた部分になります。では具体的に内容を見ていきましょう〜!
第4章の「プロフェッショナルの日常」は時代錯誤では?
さて、第4章ではこれまで教科書的に書かれてきたプロフェッショナルの掟や組織のルールが具体的にどのようにプロフェッショナルの日常に落とし込まれているのか、プロフェッショナルの仕事の仕方を紹介するパートとなっていました。
ブッダ先生は不覚にもこのパートを読みながらイライラしてしまったのです。ではなぜイライラしてしまったのかイライラ箇所を具体的にあげながら分析してみます。
「睡眠時間は1日4時間!」
「睡眠時間は1日4時間が普通、時には1日3時間」「家に帰るのは2日に1度」
こんな記載が散見されました。
さらに文章はこう続いていました。
「一流を目指す者全員が年中続ける普通の生活スタイル」
うーん、寝てないアピールする人っているじゃないですか、そうやってドヤる人あまり好きじゃないんですよね。そしてこれって一昔前の働き方だよなと思ったのです。
現代は生産性を求められる時代です。時間をかけたくてもかけれないという制約もありますし、その制約の中で最大の成果を生むことが求められます。だから上記のような体力的なハードワーキングを是とされるとちょっと違うかなと思ってしまいます。
ただし、ブッダ先生は前向きなのでここからも吸収できることを見つけます。
確かに体力的ハードワーキングは今の時代に合いませんが、脳みそのハードワーキングはより一層求められます。
そうである以上、このパートからは「プロフェッショナルである以上、常に(特に脳みその)ハードワーキングの覚悟を持ちなさいよ」と忠告してくれているのだと受け取ることとします。
「団体旅行では手のかかる団体No.1」
プロフェッショナルというのは他人に合わせて自分がしたいことを曲げるのが嫌で、自分がしたいことを好き勝手にやりたいという個人主義を持つ人種。よって和をもって貴しとなす文化の我が国では浮いてしまうと書いてありました。
その具体例として、団体旅行ではそれぞれが個人的リクエストを達成するためにガイドさんに要求するためガイドさんから「手のかかる団体No1」の称号をもらっているとのことです。
このエピソードについて、次のように書いてありました。
個人主義的であることに誇りと美意識を持っている人種であり、集団行動や他人との同調にはあまり価値を置いていない。
これにはブッダ先生びっくりしてしまいました。
「自己中を肯定するのはやめてください…」
「自己中に誇りと美意識を持他ないでください…」
ブッダ先生は思います、プロフェッショナルとはそんな人間ではないと。
過度な個人主義はイケテナイよ
人様に迷惑をかけることもプロフェッショナルなら肯定されるのでしょうか。そんなはずは決してありません。個人主義的であることは別に個性なので良いですが、人に迷惑をかけていることをわかっていながらそれを美意識だの誇りだのと言って肯定するのはいかがなものかと思います。そんな人はプロフェッショナルではありません。そんな人がclient interest firstなど言わないで欲しい。行き過ぎた個人主義を肯定するのはやめましょう。少なくともブッダ先生はそんなプロフェッショナルには絶対にならないぞ!固く決意しました。
気をとりなおして
すみません、つい取り乱してしまいました。温厚なブッダ先生なのですが…つい第4章はイライラしてしまって…
でも安心してください。第4章で評価だだ下がりの本書でしたが第5章で持ち直していますので!
第5章 プロフェッショナル達へ
この章では著者がこの本を書こうと思った理由・未来のプロフェッショナル達へのメッセージが書かれていました。
著者のモチベーションはどこにある?
著者がこの本を書こうと思った理由は以前の記事で次のように要約しました。
①現代のプロフェッショナル業界に対する問題意識・危機感
②プロフェッショナル達に自信と誇りを取り戻してもらうため
ではなぜこのように思ったのでしょうか。著者の問題意識とは何なのでしょうか。
プロフェッショナルが起こす事件
ライブドア事件には公認会計士が不適切な財務諸表に適正意見を与えていた。
このようにプロフェショナルがプロフェッショナルの仕事において犯罪を犯す事件が増えてきている。
このことについて著者はプロフェッショナルが事件を起こしてしまうメカニズムを考察します。
経済合理性とプロフェッショナリズムの不調和
現代の日本社会では社会の変化により経済合理性(金儲け)が最優先されるようになったため、公益への奉仕をその本分とするプロフェッショナリズムが社会にマッチしなくなっていると指摘します。この経済合理性とプロフェッショナリズムの不調和によって、
①プロフェッショナリズムを守りきれなくなった者にによる犯罪が起こっている
②懸命にプロフェッショナリズムを守ろうとする者は現場で悲鳴をあげている
の現象が起きていると言います。
そのメカニズムを以下で確認します。
プロフェッショナリズムを歪めるメカニズム(社会の変化)
プロフェショナルの本分=公益への奉仕=正義や社会的公正という価値
↓
経済合理性に最も価値を置く社会では非経済的価値よりも経済合理性が優先される。
↓
正義・社会的公正といった非経済的価値にこだわっても社会やクライアントに貢献できない。
(例、何としてでも利益を大きく見せたいベンチャー企業にとって適正意見を出さない公認会計士は厄介者でしかない)
↓
プロフェッショナルは自尊の念、社会からの敬意を得る機会が消えてしまいつつある(プロフェッショナルの魅力の喪失)。
それ以前に生活の大前提である飯が食えるという安全欲求すら危うくなっている。
↓
プロフェッショナル達がプロフェッショナルの本分を守りきれなくなっている。
↓
あるべきプロフェッショナリズムが歪み事件が起こる。
さらに経済合理性至上主義はファームにも変化をもたらしています。
client interest firstからfirm interest firstへ(ファームの変化)
client interest firstという最重要の掟が崩れていると著者は指摘します。
お金儲けしたい
↓
ファーム規模の拡大
↓
雇用維持・さらなる規模拡大のため仕事が必要
↓
本来営業したり宣伝したりすべきでないが、営業開拓のウェイトが増す。
↓
パートナー達は成果物の品質ではなく営業開拓をして得た売上金額の多寡で評価されるようになった。
↓
・クライアントの問題解決の時間削り営業活動に時間割く
・プロジェクトを長引かせてフィーをかさ上げする
こんなことが現場で起きているといいます。
そしてそこで奮闘するプロフェッショナル達から悲鳴が上がっているといいます。
現場の悲鳴(現場の変化)
client interest first=プロフェッショナルの本質であり最重要理念。
なぜなら、すべてのプロフェッショナルの掟がここから導き出されるからである。
↓
これがもしfirm interest firstになると...
↓
プロフェッショナルの掟
ファームの仕組みやルール
→これらすべてが合理性を失う
↓
例えば、以下のようなことが起こっている。
①クライアントの利益に尽くせと言われながら、クライアントから最もフィーを稼いだ者が評価される。
②品質を追求しろと言われながら、営業活動に時間を割くように指示される。
↓
プロフェッショナリズムを守ろうとする者ほど、ファームの良き一員であることが難しくなっている(現場の悲鳴)。
著者の願い
プロフェッショナリズムを守りきれないプロフェッショナルによる犯罪が増加し、またプロフェッショナリズムを守ろうとする者は余計に苦しむ現代に著者は問題意識を抱えています。あるべきプロフェッショナリズムが消えかけていることへの危機感かもしれません。
著者の願いは
①あるべきプロフェッショナリズムを取り戻すこと
②現場で悲鳴をあげているプロフェッショナル達の自信と誇りを取り戻すこと
なのです。
プロフェッショナル達へのメッセージ
最後に著者はプロフェッショナル達へメッセージを送ります。
それは次のようなメッセージです。
我々プロフェッショナルには、経済合理主義至上主義の世の中で、非経済的価値によって人は最高の幸せを享受することができることを実証する使命がある!
そして、
重大な使命、困難なテーマだが、プロフェッショナルの魅力を信じて経済合理主義至上主義の中で揺らぐことなくプロフェッショナリズムを追求していってほしい。
まとめ
最後のメッセージを読んでブッダ先生はモチベーションが上がりました。「非経済的価値による幸せ」はまさにブッダ先生の価値観に合致するし、今の世の中では難しいチャレンジだけどそうやって生きていきたいと思ったからです。
この「プロフェッショナル原論」プロフェッショナルとしてのテクニカルなことではなく本分(マインドセット)について強調されていました。
テクニカルに走り気味なブッダ先生に本当に大事なことを見失うなと言ってくれているようで読んでよかったです。
そしていつの日か出演するぞ!
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NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に!