「接待」の減税効果とは
どうも、ブッダ先生です。
『ブッダ先生の世相切り!』のコーナーがやってきました。
本日のテーマは「交際費」です〜
注目した記事は…
こちらの記事ですね。(2019/12/23日経)
この記事を要約すると・・・
「電子メール・電子データのやりとりで取引決める動き広がる」
↓
「対面営業の重要度低下」
↓
「接待の費用対効果が悪くなっている」です。
そもそも接待って何のために行われるのでしょう?
企業活動の潤滑油、交際費
交際費ってそもそも、取引先を接待するためのゴルフ代や飲食代などです。
こうした「接待」は日本の商習慣として根付いてきたものですし、日本以外の国でもよくある習慣と言えるでしょう。
これは、企業の売上高に直接寄与するものではありません。
しかし、利害関係者との円滑な取引関係を構築・維持するために必要な支出であり、企業活動の潤滑油とでも言えるでしょう。
この交際費すなわち「接待」が時には企業間の取引を左右してきたのです。
交際費が増えている
記事によれば、
2014年度以降、交際費の金額は増えてきた。国税庁が毎年公表する「会社標本調査」によると2013年度は3兆825億円だったが、最新の2017年度では3兆8104億円に増加した。
と企業が支出する交際費が増加しているらしく、増加している理由については、
近年は減税の効果もあって伸びが続いたが、費用対効果に陰りが見える。
と減税効果に言及しています。
交際費の減税効果って?
法人が支出する交際費には減税効果があるのです。
厳密には交際費の中でも接待飲食のための支出に減税効果があります。
それは現行の租税特別措置法で規定されています。
早速見ていきましょう。
交際費は原則として損金不算入(節税効果なし)
交際費は企業活動の潤滑油であると先ほど書きました。
しかし一方で、無駄使いの性質がある支出なのです。
したがって、会計上適切に費用として認められた交際費でも、
税務上は無駄使いの性質を持つ支出を規制する観点から、
「原則として全額損金不算入」の取り扱いがなされます。
損金不算入って具体的には?
会計上: 収益-費用=利益
税務上: 利益±税務調整=課税所得
このように、法人税は会計上の利益に税務調整を反映させて算定した課税所得をベースに算出されます。
交際費はまさしく、税務調整項目の一つです。
これはすなわち、交際費は会計上と税務上で取り扱いが異なることを意味します。
具体的に数字を当てはめてみましょう!
売上高100 接待ゴルフ代20 だとします。
会計上:収益100-費用20=利益80
税務上:利益80+損金不算入20=課税所得100
法人税=課税所得100×税率23.2%=23円
このように、損金不算入とは税務上は損金に認められないことを指します。
この例では、支出交際費20が全額損金不算入 となります。
交際費の中でも「接待飲食費」は損金OK!?
交際費は税務上、原則として全額損金不算入とされることを説明しました。
しかしながら現行制度では特例があります。交際費の中の接待飲食費です。
特例の内容をみていきましょう。
資本金1億円超の会社の特例
損金不算入額=支出交際費-接待飲食費の50%
これどういうことかわかりますでしょうか?
交際費の中でも接待飲食費は、損金不算入額を減らす効果があるということです。
すなわち、原則損金として認められないはずの交際費ですが、接待飲食費の一部は損金算入OKということです。
ex 売上高100、支出交際費60(接待ゴルフ代10、接待飲食代50)
会計上:収益100-費用60=利益40
税務上:利益40+損金不算入35=75
(損金不算入額=支出交際費60-接待飲食50×50%=35)
本来、交際費は全額損金不算入により課税所得100(利益40+損金不算入60)のはず。
しかし、接待飲食費の50%が損金算入されることで課税所得は75(利益40+35)となります。
すなわち、交際費の中の接待飲食費により
原則:課税所得100 → 法人税=100×税率23.2%=23
特例:課税所得75 → 法人税=90×税率23.2%=17
この点を持って「接待」に減税効果があると言っているのです。
何で減税効果を認めたの?
この資本金1億円超の大企業向けの特例(中小企業はさらに優遇措置あるよ)は2014年に導入されました。当時の首相は麻生さんです。
2014年って何があった年でしょう・・・
そう消費税増税です。消費税が5%→8%になりました。
これに合わせた景気刺激策の一環だったわけです。
減税効果の恩恵を受けていたのは
この交際費の減税効果の恩恵を受けていたのは誰でしょうか。
・麻生さん(増税による支持率低下を緩和)
・企業(減税効果)
・飲み屋、ゴルフ場、キャバクラ、高級クラブ(ビジネス需要)
でしょうか。
税制改正で「交際費」はどうなるの?
令和元年12月12日に公表された令和2年度税制改正大綱(与党大綱)によると・・・
①中小企業向けの特例を含め制度全体を2年延長
②接待飲食費の損金算入OKの特例の対象から資本金100億円超の法人を除外
とのことです。
費用対効果が悪くなり、無駄使いの性質が強くなってきた交際費の減税制度を少し見直したということでしょうか。
まとめ
ブッダ先生はどちらかというと接待は苦手です。
付き合いのゴルフや飲み会は気が重いです。
そんなブッダ先生には、
接待のコスパが低下
→接待の減税制度が見直し
→接待の旨味が減退
→企業の接待への支出減退
→接待に行けという命令減少
→ブッダ先生寝る時間確保◎
が期待でき朗報かもしれません。
きっとブッダ先生のように接待に気が向かないビジネスパーソンは多いはず。
女性の社会進出、団塊世代のリタイヤなどこれから接待のあり方は変わるでしょう。
「昭和の接待」→「令和の接待」、どんな接待がブッダ先生を待ち受けているのでしょうか・・・
爽やかでクリーンな接待をブッダ先生は期待しているぞ!
ではまた!