ジャパンディスプレイ在庫過大計上の疑い
どうも、ブッダ先生です。
『ブッダ先生の世相斬り!』のコーナーです〜
今日のテーマは「監査」です。
注目した記事は・・・
こちらです。
「在庫100億円過大計上疑い、JDI、第三者委が調査へ」とのことです。
記事の概要
さて、簡単に記事の内容をまとめましょう。
ジャパンディスプレイから懲戒解雇されたの元経理幹部の告発
「経営陣の指示で過去に不適切な会計処理してました」
↓
ジャパンディスプレイ(JDI)
「過去の決算は適切だ!」
↓
特別調査委員会の調査結果
「在庫の過大計上の疑いがあります。」
↓
ジャパンディスプレイ(JDI)
「過去に在庫を100億円過大計上した疑いがありました。」
「第三者委員会を立ち上げて透明性の高い調査をします!」
とのことですね。
どうやらJDIの元経理幹部の告発により過去の粉飾が明るみになるかもしれないようです。
在庫を過大計上するインセンティブ
JDIが過去に在庫を過大計上するという粉飾をした疑いがあるようですが、
なぜ在庫を過大計上するのでしょうか?何かいいことがあるのでしょうか?
①損益計算書の構造
②売上原価の計算過程
この二つを理解すればわかります。
損益計算書(PL)の構造
そもそも、損益計算書とは企業の1年間の経営成績を示す書類です。
1年間でいくら儲かったかを知ることができます。
+売上高 2,000
▲売上原価 1,250
=売上総利益 750
売上原価の計算過程
売上原価とは販売した商品の作ったり仕入れたりした際のコストです。
この売上原価はどうやって計算されるのでしょう。
<例>
朝、1個20円の焼き芋が50個ありました。
スーパーで1個25円の焼き芋を20個買いました。
?個売りました。
夜に残った焼き芋は40個(@25円)でした。
焼き芋の売上原価はいくらでしょう。
このように、
売上原価=期首在庫+当期仕入ー期末在庫
の手順で算定します。
在庫を過大計上すると・・・
もうお分かりですね。
「在庫の過大計上→売上原価減少→利益増加」という結果をもたらします。
経営者が在庫を過大計上したのは利益を実態よりも大きく見せたかったと推測することができます。
会計士が監査してるはずなのに?
通常、在庫の金額が適切かどうかは会計士によって監査されます。
そもそも監査とは何なのでしょう?
監査は小学校の通信簿で理解しよう
監査とは、公認会計士が企業の財務諸表の信頼性を保証することです。
簡単に言えば、企業の成績表に嘘がないかチェックしてお墨付きを与え、投資家を保護することです。
財務諸表をイメージしにくい方は、小学校や中学校の時の通信簿をイメージしてみてください。
通信簿(財務諸表)を見て、みなさんの親御さん(投資家)は、
「数学は2だから塾に入れよう」「英語は5だからもっと伸ばしてやろう」
とか判断して意思決定するのです。
しかしながら企業の場合、成績表を作るのは先生ではなく企業自身です。
企業が自らの成績表を作るのです。
子どもが自分で通信簿を作ってきたらどうでしょう。
「英語のテストは赤点だったけど頑張ったから5にしておこう。」
「親に怒られるのが強いから数学は5にしておこう。」
こんなことが起こり得るのです。
通信簿が適正に成績を表していなければ親御さんは意思決定を誤ってしまいます。
会計士の行う監査はまさに、この通信簿が実態を正しく反映したものであるかをチェックして、親御さん(投資家)を守ることにあるのです。
監査法人の責任は重い?
では、なぜ監査しているにもかかわらず、
JDIの過去の粉飾を見抜けなかったのでしょうか。
これは単純に監査法人の監査が甘かったということです。
監査論の勉強では、
「経営者不正は隠蔽するために念入りに仕組まれたスキームを伴うことがあるため不正の発見が難しい」ということを勉強します。
しかし、そんなこと言ってたらいつまでたっても不正を伴う粉飾は後を絶ちません。
監査法人の英知を結集して発見できないことなどないはずです。
会計の専門家集団ですよ?自覚を持たなければなりません。
社会から会計士に期待される役割は大きくなる以上、会計監査の品質も向上させていかなければならないのです。
まとめ
今回、JDIの粉飾疑惑の記事に出会い、
会計士になるブッダ先生にはにとても見逃すことができませんでした。
こんなニュースを見るたびに思うのです、
「世界がブッダ先生を呼んでいる」と。
さて、一人前の会計士になって粉飾を根絶して世直しするぞ!
ではまた!